Kyoto middle school English teachers take the TOEIC exam
京都の中学校の英語教師がTOEICを受験
The Kyoto Prefectural Board of Education made all junior high school English teachers take the TOEIC test. The target score was 730 which is equivalent to passing an Eiken Grade Pre-1 exam.
京都府教育委員会は中学校で英語を教える教師にTOEICを受験させた。目標点は英検準1級に相当する730点だった。
However, only 16 out of 74 teachers achieved the target score. The highest score was 885 and the lowest was 280.
しかし、このうち目標点に達したのは74人のうち16人だけだった。最高点は885点、最低は280点だった。
An English teacher in his 50s complained that “this was an excessive burden placed on the people on the front lines.”
ある中学校で英語を教える50代の男性は「現場には過度の負担」と不満を漏らしていた。
最高点は885点、最低点は280点
2021年より文部科学省は「中学校の英語の授業を英語で実施する方針」を打ち出しています。
この新学習指導要領導入に向けて、京都府公立中学校英語科教員（京都市を除く）がTOEICを受験し、その結果が発表されました。
最高点は885点、最低点は280点で、平均は588点でした。
初年度の16年度は74人が受験し、文部科学省が目標に掲げる730点以上に達した人数は4人、集中セミナー受講後の再テストでの達成者を合わせると合計16人となりました。
府教委が教員の英語力向上のためTOEIC受験や研修セミナーなどに750万円を支援しており、50歳未満で英検準1級程度に達していない英語科教員約150人が対象となっています。
達成者が少ないこの結果を受けて府教委は「英語教員としての資質が問われかねない」と毎日新聞の取材に語っています。
一般企業で求められるスコアは？
国際ビジネスコミュニケーション協会の資料によると、TOEIC730点レベルは「通常会話は完全に理解でき応答もはやい」と評価されます。
上場企業ではグローバル化に対応するため全社員に平均「600点」、国際部門では「700点以上」を期待、と書かれていました。
また、7割の企業が採用時にTOEICスコアを参考にしており、新入社員には平均565点、中途採用社員には平均710点を期待しています。
中途採用社員に関しては前回調査（2011年）の600点より110点も上がっており、すでに英語力をもつ人材を求めている、とのことでした。
大手企業のTOEIC採用基準を参考までにいくつかピックアップします。
920点以上
韓国サムスン（中核人材A級・課長）
900点以上
三菱東京UFJ銀行（グローバルCIB）、松下電器(国際広報担当)
860点以上
野村ホールディングス(グローバル型社員)、富士通(海外出張)
800点以上
韓国ヒュンダイ、楽天、日本マクドナルド
750点以上
JTB、アマゾンWebサービスジャパン、三菱自動車工業
730点以上
ソフトバンク
700点以上
ファーストリテイリング（ユニクロ）、NTT東日本、ブリジストン
600点以上
ANA、日本IBM
トップ企業内定者のスコア実情については、戦略コンサル・外資系投資銀行・総合商社での中央値は880〜900点で非常に高い数値となっていて、外資メーカー・日系投資銀行では少し下がるものの858〜860点であると外資就活サイトが分析しています。
英語科教員に求められるものは？
グローバル化に向けて、かつての英文法中心の指導方法ではなくリスニング・スピーキングを中心とした使える英語指導へと舵を切ってはいますが、京都府公立中学校に通う中学生によると、授業における英語と日本語の比重は教員によってかなりの差があるとのことです。
多くの現職教員が自分が受けてきた英語教育とは大きく異なる方法で指導や評価を行うことが求められている、と文部科学省の報告書に明記されているように、「英語で授業すること」のハードルは教員の年齢が上がれば上がるほど高いのではないでしょうか。
また、多感な中学生の複雑な人間関係やいじめへの対処、適切な指導力、さらには保護者対応など教員に求められるものは多岐に渡ります。
最近、はてなブログで教育困難校に勤務しているらしい教員による匿名投稿が大きな話題になっていました。
教育困難校に勤務してるけど、もう無理（はてな匿名ダイアリーより）
授業をまともに進行することさえままならない日々の中「罵詈雑言を浴びながらも生徒と向き合って頑張ってる人もいる」などと書かれています。
今回の最低点の280点に対し「教員として大問題」といった意見も出ていますが、280点はそこそこ英語を勉強していれば逆に獲得するのが難しいスコアです。当日の体調不良なども含めてなんらかの事情があったのではないでしょうか。
教育困難校に限らず、部活動指導を含む教員の負担は問題になっており、そういった状況下でのTOEIC受験は教員に大きくのしかかっています。
教員の英語力向上は重要ですが、子供たちの人間形成に関わる仕事であるだけにスコアに重きをおくことを疑問視する声も出ています。
授業を英語で実施することとはどの程度？
文部科学省の「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告 ～グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言～」という長い題名の報告書から一部抜粋します。ご興味のある方はお読みください。
【中学校における改善の方向】
英語の教科書の本文や、そこで取り上げられている題材や言語材料を、生徒が関心を持てるような身近な話題と関連付けて指導すべきである。
例えば、学校生活における活動、地域行事、生徒の体験、他教科での学習内容等と関連付けて、互いの考えや気持ちを英語で伝え合う言語活動を中心とする授業を行うことを重視する。
また、授業を実際のコミュニケーションの場面とする観点から、中学校においても授業を英語で行うことを基本とする。
「授業は英語で行うことを基本とする」こととは、教師が授業を英語で行うとともに、生徒も授業の中でできるだけ多くの英語を使用することにより、英語による言語活動を行うことを授業の中心とすることである。
これは、生徒が、授業の中で英語に触れたり英語でコミュニケーションを行ったりする機会を充実するとともに、生徒が英語を英語のまま理解したり表現したりすることに慣れるような指導の充実を図ることを目的としている。
英語に関する各科目の「特質」は、言語に関する技能そのものの習得を目的としていることである。しかし、このような技能の習得のために必要となる、英語を使用する機会は、我が国の生徒の日常生活において非常に限られている。
これらのことを踏まえれば、英語に関する各科目の授業においては、訳読や和文英訳、文法指導が中心とならないよう留意し、生徒が英語に触れるとともに、英語でコミュニケーションを行う機会を充実することが必要である（出典：高等学校学習指導要領解説・外国語）。
