Tokyo finds record Y3.6 billion in lost cash in 2016
2016年、東京で記録的な36億円の現金の落とし物
The Tokyo Metropolitan Police Department has reported that a record Y3.6 billion in cash was found in 2016 and logged as lost property.
警視庁は2016年中にこれまでで最も多い36億円の現金の落とし物があり、遺失物として記録されたと報告している。
The amount has been steadily increasing for 7 years and finally topped the old record set during the height of the bubble era.
この量はこの7年で着実に増加しており、ついにバブル期絶頂期に作られた古い記録を追い越した。
Of the amount, some Y2.7 billion was eventually returned to owners. The remaining money goes to the finder or, if unclaimed after three months, to the metropolitan government.
この量のうち、27億円は最終的に持ち主に返還された。残ったお金は、3ヶ月後に発見者に行くか、または、申し出がなければ都に行くことになる。
1日あたり1000万円の落とし物
警視庁の発表によると、落とし物の現金がバブル景気の影響があった1990年の35億円を超えて過去最高の36億円になりました。
リーマンショック後の2009年には25億円まで落ち込んでいましたが、そこから7年連続で増加しています。
計算上は東京都内だけで毎日1千万円が落とされていることになります。2016年の1件あたりの落とし物の最高金額は5000万円でした。
2016年は36億円のうち27億円は持ち主に返され、5億円が拾った人へ、4億円が東京都の歳入になっています。
現金が届けられることや額の多さに、海外では驚きを持って伝えられるケースも見られます。
落とし物の件数そのものも過去最高で約383万件、クレジットカードや免許証、ICカードなどが多く、中にはネコや鳥などのペットも1000件ほどあったようです。
日経新聞には警視庁遺失物センターの担当者のコメントがあり、落とし物件数が過去最高になった理由の分析として『物を大切にする気持ちが薄れてきているのでは』と書かれていますが、たぶん違うような気がします…。そんな理由なんでしょうか?
個人的な予想ですがスマホが普及して、車内等で注意を取られる所有物が増えたこと、切符の購入がなくなりICカードになったことで必然的に落とし物としてのカウント対象が増えた(切符は落とし物として届けられにくかった)、注意力が散漫な観光客が増えたなどが想像できます。
なにより最も大きな理由は首都圏の人口が昔と比べて単純に増加しているのではないでしょうか。人が増えれば落とし物が増えるのも自然な流れです。
キャッシュレス社会
現金の落とし物の裏返しとして、日本がまだまだ現金主義なことが読み取れます。
北欧のスウェーデンはキャッシュレス化が進んでおり、すでに95%がキャッシュレスになっています。
交通機関は現金で切符が買えず、飲食店でも現金お断りの張り紙が当たり前のようになっているそうです。
背景には人口1000万人程度の国なので導入に小回りが効いたことや、Swishと呼ばれる有力銀行による規格がスタンダードとして浸透したことがあげられています。
日本のように各社が独自の電子マネーの覇権争いを繰り広げることなく普及したことも大きく影響しています。
キャッシュレス化の恩恵として、現金強盗などの犯罪が減少しており、銀行強盗に入ったらキャッシュレスの銀行だった話も報告されています。
またマネーロンダリングのような金融犯罪の抑止、レジ会計のスムーズさなども含めて、コスト削減につながっている部分もあります。
アメリカもカード社会ですが、北欧がその先をいっている未来社会になっています。
そう考えると、日本はまだまだ現金の力が根強い社会であるといえます。