Japan has scrambled jets record 883 times so far this FY
日本のスクランブル発進が今年度いままで883回を記録
The Defense Ministry has reported that it scrambled fighter jets against encroaching aircraft 883 times in the last 9 months, although Japanese airspace was never violated.
防衛省は過去9ヶ月において侵入する航空機に対して883回のスクランブル発進をしたと報告した。しかし日本の領空は侵犯されていない。
The number of incidents is up 36% from the same period last year and is on track to be the highest since 1984, during the Cold War.
この事例の数は昨年の同時期から36%増加し、1984年の冷戦の時における最高記録へと向かっている。
Of the encroaching aircraft, 231 were Russian, 6 Taiwanese and 644 Chinese, indicating increased tension over Chinese military activities.
侵入する航空機は、ロシア231、台湾6、中国が644で、中国の軍事活動を巡る緊張が高まっていることが示唆されている。
過去最高のペースで増加
防衛省が2016年4月から12月までの緊急発進(スクランブル)回数が現時点で過去最多の883回だったと発表しています。
年度(fiscal year)は3月まであるので、このまま行けば1984年の過去最高944回を上回ると見られています。
特に中国機へのスクランブル発進が644回と、昨年の同時期と比較しても2倍近くにあがっています。
いずれも領空侵犯はないものの緊張感が高まっている様子が伺えます。
スクランブル発進とはなにか?
よくわからない飛行機が日本に飛んで来た場合、まず「防空識別圏」と呼ばれる日本側の監視エリアに突入します。
防空識別圏は常に監視が行われているエリアで、この防空識別圏を飛ぶには(強制力はないですが)事前に飛行計画の提出を求めます。
「家の前の道路」みたいなもので、道路を歩くことには文句はいえませんが、あまり家の前をうろうろされても困ります。
逆にいえば日本が他国の「防空識別圏」を飛ぶにはこちらから飛行計画を提出します。
この防空識別圏に通達なし、正体不明の飛行機が来た場合に、警告の意味も含めて「どこの飛行機ですか?」と識別と証明を求めに行きます。
これがスクランブル発進です。警告して追い払う行為でもあります。
家の前をうろつく人に「あんたどこの人です?何してるんです?」と家から出ていって質問することですね。
中国は2013年に尖閣諸島上空を”中国の”防空識別圏と設定して、尖閣諸島上空を飛ぶ飛行機に飛行計画の提出を求めました。
日本としては当然、認められるものではありませんがアメリカの圧力もあって、この件は中国が少し引いた形になっています。
防空識別圏を突破してさらに日本に向かって突っ込んできた場合、海岸線から12海里(約22km)から日本の「領空(airspace)」となるので、このラインを越えた時点で侵略(領空侵犯)です。
勝手に自分の庭に侵入された、家の中まで侵入されたのと同じで、不法侵入、強盗に近い行為です。
ニュースにあるのは、この領空の侵犯までは今年はまだなかったといっています。
中国は日本のスクランブル発進に対して「日本の周辺空域を飛行する中国機に対し、自衛隊機が危険な監視活動を行い、中国機の安全な飛行だけでなく両国関係を危険にさらしている」と批判しています。
領空侵犯されたらどうするのか?
日本の領土の上空までどこかの飛行機が飛んできた場合、どうするのか微妙なところがあります。
自衛隊法第84条には「防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。」とあります。
「これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置」としか明記されておらず、攻撃していいともいっていません。
「退去させるため必要な措置」とはなんなのか? という問題が生じます。
憲法の問題でもありますが、東京上空に正体不明機が飛んできた場合、どうするのか? 撃ち落としていいのか? はあやふやな問題になっています。